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2011年08月06日

(タイトルなし)

 これで、この話はおしまいです。

 ひかりちゃんはね、家に帰ると、おばちゃんを、奥の物置部屋に引っ張っていって、「絶対に、秘密だよ」って、この話をしてくれました。だからね、おばちゃんは、大人になるまで、ずっと誰にも言わなかったんだよ。ところがね、ある日こんなことが起こりました。


 大人になった「えじまひかりちゃん」は、結婚して、「やのひかりさん」になりました。 そうだね、あおいちゃんとなつきちゃんのママだよね。 

  「やのひかりさん」は、北国で、ふたりのかわいい女の子を育てていました。タラターナ国のことは、もうほとんど思い出さなくなっていました。

 そんなある日、熊本のおばあちゃんから、久しぶりに電話がかかってきました。

 「もしもし、ひかりちゃんね?今日ね、庭ば掃除しよったらね、郵便受けの方でカタンて音がしたけん、見に行ってみたらね、不思議な手紙が入っとったとよ」

 その手紙には、あて名のところに「エシマ ヒカリ サマ」とだけ書いてあって、住所も差出人も書いてなかったんだって。そして、その字は、小さい子が一生懸命に書いたみたいな字だったんだって。

 おばあちゃんは、最初は子どものいたずらかなあと思いました。だけど、「やのひかりさん」は、何年も何年も前に熊本から引っ越していたので、近所の子は誰も、「えじまひかりちゃん」が昔ここに住んでいたことなんて、知らないはずでした。

 それで、気味が悪くなって捨てようかとも思ったんだけど、なんだかコロンと固いものが封筒の中に入ってたので、一応電話してみたんだって。

 「ふ~ん、なんだかよくわからないけど、とりあえず、こっちに送ってみて」
と、「やのひかりさん」は言いました。

 それでね、この間、おばあちゃんが、おばあちゃん特製ベーコンを、あおいちゃんちに送ってくれたでしょ。あのときに、箱の中にその手紙を入れてくれたんだって。

 「やのひかりさん」は、箱の中から、ベーコンのにおいがしみ込んだ手紙を取り出して、封を開けてみました。そこには、こんなことが書いてありました。

タラターナ テ タイヘン ナ コト カ オコタ
タスケ ニ キテ クタサイ
コノ テカミ カ ウソシャナイ ショウコ トウフウ スル

 「やのひかりさん」は、びっくりして、封筒をサカサマに振ってみました。そしたら、何かがコロンと転がり出てきました。小さな小さな王冠でした。金でできていて、まわりには、ぐるりと、小さなダイヤモンドの粒が散りばめられていました。そして、正面には・・・日の王子の王冠であることをしめす、太陽の絵が彫ってありました。

「タラターナの人たちが、困っている。助けにいかなくちゃ」

 こうして、「やのひかりさん」は、もう一度、タラターナ国に行くことになったのです。

 「やのひかりさん」は、出発の前に、おばちゃんに電話をかけました。そして、
「ちょっと出かけてくるから、あおいちゃんとなつきちゃんをよろしくね」
って、言いました。

 だから、ママが帰ってくるまで、おばちゃんとお留守番してようね。ママ、いつ頃帰ってくるかなあ。帰ってきたら、お土産話をいっぱいしてもらおうね。楽しみだね。

 おやすみなさい、あおいちゃん。おやすみなさい、なつきちゃん。


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